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小さな映画館
2016.01.19 Tuesday - comments(0)
2015/10/25
一人暮らしで寝込むと、ああもうこのまま死んでしまうんだ、誰にも発見されずに、白骨化して静かにこの世から消えていくんだ、とひどく弱気になる。家族がいる人はいいなとずっと思っていた。特に3年前のあの日はきつかった。一人で入院支度をして病院に赴き、手術を受け、意識が戻ってすぐ車椅子を押されてお会計を済ませ、一人で退院手続きをしてヨロヨロと帰宅するというあの経験は、心も体もついていかなかった。誰かに助けて欲しいと思うことは多々あるけれど、あの日は心の底から誰かを必要としていた。でも、今までも何だって一人で乗り越えてきたし、これからも乗り越えていくしかない。結婚しないということは、そういうことなのだ。

私の人生には「家族のあたたかさ」というものが完全に欠如していたから、正直憧れもあった。とはいえ、私はこれからもたぶん一人で生きていくと悟る年齢になったので、鹿嶋の家はインフルエンザで寝込んでも快適に療養できる仕組みをつくる。プロジェクターでサッカーや映画を見るためのミニシアター計画だ。

当初は、玄関横の下駄箱上部にプロジェクターを仕込む予定だった。ところが、空間ができてくると、プロジェクターの映写距離が1.7mと近すぎて、57インチ程度の大きさにしか映せないことがわかった。プロジェクターは映写距離に応じて、スクリーンサイズが決まってくるので、もう少し距離を取らないと画面が小さい。これじゃあテレビとあまり変わらないじゃないか。しかも、映写角度に無理があった。私のインフルエンザ生活は、絶望的だ。短焦点のプロジェクターであれば、2m程度の距離でも大画面で映写できるようだったけど、デザインや機能に納得がいかなかったし、何よりも予算オーバーだった。

この計画のために、吹き抜けの南側はほとんど窓を付けなかった。そのせいで、この家はちょっと暗すぎるのでは?と心配になるほどだったが、そこは建築家がちゃんと考えてくれて設計してくれている。とはいえ、プロジェクターが映せないのなら、南側に大きな窓を付けたかった...。

現場で「この計画は失敗だ」「私は一人静かに死んでいくんだ」と投げやりになっていると、現場監督の北澤さん(レイザーラモンRGに激似)が、「プロジェクターを下駄箱に仕込むんじゃなくて、上から映せばいいじゃないですか。ちょうど寝室にPC机があるんだし、その一番上の棚にプロジェクター置いたらどうです?」と天才的提案をしてくれた。

映写距離は4m前後。この距離だと120インチで映写できる。でかすぎる。しかし、スクリーンにする壁の大きさは、ちょうど120インチだった。完璧じゃないか。建築家の宇野さんが、プロジェクター設置の棚板を引き出し式にして、100インチくらいに映すようにしようかと、また天才的提案をしてくれた。私はいつ寝込んでも快適にサッカーが見れる。老後も安心。スピーカー付属のウーハーを置く棚板は、重低音の振動に耐えられるようにしておかないとね、とあれこれ図面にメモしてくれている。ありがたい。

スクリーン代わりの壁には、YAMAHAの壁付けスピーカーを設置する。ここに至るまでは、ビックカメラやヨドバシカメラに何度となく足を運んだ。白い壁に黒いスピーカーは嫌だった。白壁に白スピーカー、壁埋め込み型ではなく、壁取り付け可能なもの、それなりの音質は必要だけど価格は抑えたいという面倒な条件を次々言う私に、ヨドバシの音響担当の方が「ひとつだけあります。こちらです。」とベストな商品を案内してくれた。アンプ内蔵だから、別にアンプを買う必要もない。その代わり、マトリックスセレクターという機材につなぐことで、AV機器を4台まで接続可能にする。スピーカーからの天井裏を伝う配線は、ちょうど10mの光ケーブルでうまくいきそうだ。調査に調査を重ねて、ようやく結論が見えてきた。

そういえば、プロジェクターでテレビを映すにはどうしたらいいんだろう。深夜に調べていくと、壁にテレビ配線があれば、HDD/DVDレコーダーからプロジェクターへと接続することでうまく映写できるようだ。壁を塞いでしまう寸前で「寝室のPC棚にTV配線を一つ追加してください」とメールをした。



プロジェクター、スピーカー、ウーファーがうまく収まるサイズに作ってもらった。
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